長野県茅野市で『自分をふりかえるライフチャートをつくろう』開催報告

 2月5日の日曜日午後。JR茅野駅から徒歩8分の ゆいわーく茅野(市民活動センター[茅野市ひと・まちプラザ内])の1階会議室で、ワークショップ「自分をふりかえるライフチャートをつくろう」が開催されました。

 会場には、開始時刻の30分ほど前から参加者が集まりはじめます。3グループのテーブルの上には、既に各地の美術館・美術展で手に入れたアート絵葉書を広げてあります。参加者にはテーブルを回って「気になる一枚」を選んでもらいます。さっと取られる方も、かなり時間お賭けて考え込む方も。一枚が決まると名札が用意された席に着きます。講座開始後の自己紹介では、その一枚を皆さんに見せながらなぜ選んだかを簡単に紹介します。人生で体験した出来事とのつながり、これまで大切にしてきたこと、現在関心を持っていること等をビジュアルを介してひとつ共有し、参加者同士の初対面の緊張をほぐします。

 ”自分史”で真っ先に思い浮かべるのは「文字で書かれた本」ですが、今回の切り口は「カタチや色で描かれたライフチャート」です。絵葉書に続いて、まさに自分自身を見つめる「自画像」の話題をつなげて講義を始めます。

ワークショップの参加者募集ちらし

 このワークショップを主催したのは、地元の有志のグループである CROCO GA IRU(クロコガイル)さん。茅野市を拠点に、まちづくりの活動をするみなさんのインタビューとその公開を通して、イキイキと活躍する住民のみなさんとその活動を応援している団体です。メンバーの皆さんが、「自分史」という切り口がなにかしら活動のヒントになるのではないかと感じられ、自分史カフェの自分史活用入門講座にオンラインで参加されたのが縁となり、その講座をたたき台にして今回のワークショップのお手伝いをさせてもらうことになりました。

 「自分史とは、ライフチャートの作り方のヒント」のお話をさせてもらった後は、いよいよそれぞれのライフチャート作成の時間です。1年単位で思い出しながらの作業にみなさん集中しています。すでにまとめている年表形式の振り返り記録を持参された方もいらっしゃいました。1年ごとに「充実度」「幸福度」を百点満点でプロットし、それを線で結んでいく方が多いようです。そのあと、上がり下がりの背景になる出来事をポストイットに記入して貼り付けていきました。

集中の時間

 会場には、世の中の年表も準備され貼りだされています。「茅野市の歴史」の前では、自分の記憶とのすり合わせに加えて、お互いの記憶を語り合って盛り上がります。

 グループでは、お一人ごとの時間を決めて、ライフチャートを描いてみての気づきや発見を発表した後に、他の参加者がコメントや質問を返します。これまでの人生の大きな流れは、チャートの変動の幅や頻度、最低と最高の時期を見れば一見しておおまかに分かります。その中で特に語りたいこととして個人作業で選んだことを、さらに他者からの評価や問いかけで深めていきます。住んでいる地域と歴史を共有しつつ、特別な利害関係はもたない者同士の語らいは新鮮な体験になったのではないかと思います。

 講師としては、いつもどおり、安心・安全な場づくりを心掛けました。最後のグループごとの共有の場では、リラックスしておしゃべりを楽しんでいただけたようです。受講後アンケートでは、CROCO GA IRU(クロコガイル)さんのインタビュー活動への協力の意向も皆さんに示していただけたようです。

 コロナ禍が始まって3年、実際に対面してのワークショップの機会が限られてきました。今回は、久しぶりのライフチャートを使った大人数ワークショップでした。皆さんに自分の人生を普段と異なる新しい切り口で見直すことを楽しんでもらえた感触があります。機会をくださったCROCO GA IRU(クロコガイル)さんに感謝しています。

(文責:本間浩一)